浅草橋 たつの家

今夜も夜が更けた。
本当に仕事が終わんないな〜。
今日は柔術行っちゃおう！明日やれば良いや！って日が無い。
ここ１年位で俺のワークスタイルは全く変わった。
アパレルやってた頃の方が簡単に稼げたもんな〜。
まぁ〜しょうがないわ。
５０歳過ぎてアパレルは出来ん。
特に流行物は。
今の方が合ってるか。
諦めた。
今後柔術は月２回だ。
こう思おう。
３回行けたら嬉しいもんな。
でも少ないな〜。
月謝と見合ってない。
まぁ良いや。
今夜も飲もう。
今日もボブと浅草橋を闊歩。
何て静かな街だ。
１０年前は午後１０時でも人がわんさか。
店も煌々と明かりがついていた。
今は真っ暗。
しかもマンションだらけ。
あてにしていた餃子屋も無くなっていた。
そのまま清洲橋通りに。
車なんか一台も走ってない。
片側３車線、両側で６車線なのに。
そんな中唯一電気が有る店。
たつの家だ。
決して家系ラーメン屋ではない。
ボブと入るのに迷う。
何せサブタイトルが「親父の創作料理」だ。
昼に２回位来ただけだが、親父のおまかせ定食がもの凄いボリューム。
完全に親父に身を委ねる事になる。
ボブは気に入った様だ。
入店！
あらっ？客が居ない。
店で流れているテレビは吉田類の酒場放浪記。
しかもたつの家の回。
過去の栄光にすがってるのか？
お手並み拝見だ。
先ずは・・・・レモンサワー。
何だか最近レモンサワーを頼むと漢っぽさが無いな〜と感じる。
さぁ。何頼もうか。
あっ！この店カタカナが少ない！
良い店じゃないか！
先ずはもずく酢！
カレイの唐揚げも！
カウンター越しに親父が出た！
「海老団子も食べなよ。うちの名物だから。」
はい。分かりました。
揚げ出し豆腐も頂戴な。
ここのレモンサワー美味いわ〜。
もずく酢を頂く。
こりゃ良い味だ。
昔は居酒屋入って、お通しにもずくが出て来ると、怒り狂っていた。
こんなもんで酒を飲めるかと。
今は美味しく飲めるわ〜。
歳取ると酢の物が好きになるのは、肝臓がアルコール分解する時に酢酸が必要なんだってね。
本当かよ。
カレイも来た。
思ったのと全然違うが、酢漬けで美味い！
一時根魚が泥臭くて嫌いになったが、ちゃんとドロ抜きしているかの差だけか。
親父の自慢の海老団子も来た。
これを別皿のソースで喰う。
つけて食べる。
美味っ！
親父さすがだな！
そんな馴れ合いでもないけど。
この時ボブの携帯が鳴る。
甘えん坊将軍が仕事が終わり参戦すると。
ここで揚げ出し豆腐も。
素晴らしいビジュアルだ。
お〜！味も素晴らしい！
甘えん坊将軍到着。
俺等が日本橋焼餃子かむつみ家に居ると思って探しまわったらしい。
よく来たね〜。乾杯〜！
刺し盛りを追加で注文。
バクダンと山芋も頂く。
よく考えればめっちゃ尿酸値の上がる物ばかり。
もういいや。足痛くなっても。
刺身も良い奴出してくるわ。
美味い！
バクダンと山芋は俺に掻き混ぜさせろ！
納豆、鮪、イカ、ねぎ、納豆。
こりゃ美味いに決まってんだろうよ。
飲み屋ではよく喰うが、米に掛けて喰ってみたいもんだ。
山芋も今までで見た事無い位細く切られている。
食感が何とも言えん。
切り方で全然変わるな〜。
話しも盛り上がり中に視線を感じたのでカウンターを見ると。親父が見た事無い笑顔で俺を見ている。
小さく両指の人差し指でバツを作ると、大きく頷く。
帰れってか。
全ては親父の創作だからしょうが有るまい。
後十年したら徘徊して親父を捜索だな。
金を集めようとしたら甘えん坊将軍が「持ち合わせが無いです！すみません！」
鉄砲かよ〜。
でもよく来た。
そんな日も有るさ。