竜泉 角満

朝ボブから話し掛けられる。
「どうも角萬が今週で閉店するそうです。」
何！！！！
本当か！！！
これが無くなるとそば界の二郎は言問橋と入谷しか無くなる。
でも言問橋は話し掛けられるまで注文出来なくて、出てきて喰うまで１時間半かかる。
入谷はまさかの土日祝営業。
竜泉の角萬は１階で５０人ぐらい。
２階は１５０人ぐらい入れる巨大店。
これが無くなると俺等が路頭に迷う。
信じられないので、ここの斜め前の下請けの人に見てきてもらう。
貼り紙も何も無いと。
本当か？
信じられないので直ぐに店に。
貼り紙はない。
１階で冷や肉大を注文して２階に。
げげげっ！
超満員！！！！
こんなの初めて見た！
まさか噂は本当か？
俺等の為に空いて居たかの様に４人分座れる。
こりゃ何だか様子がおかしい。
ざわついている。
２階のおじちゃんが前の客の食器を片付けに来たので聞いてみた。
「本当に今週で閉店なの？」
「そうなんだよ〜勿体ないだろ？」
「えっ！何で？」
「娘が２人共独身でよ〜。やっちまって継いでくれよ。もしくは共同経営で。」
噂ではなく本当だった。
マジか。
悲し過ぎる。
多分告知無しでこの混雑。
明日は定休日。
今週は後３日。
これが最後になるだろう。
噛み締めて喰うぞ。
「冷や肉大４名様〜〜〜！」
２０分程で来た！
挙手して頂く。
これが最後の一杯だ。
味わうぞ。
相変わらずの素晴らしい太さのそば。
汁より高いそばの位置。
冷やだが汁も冷えてない。
ねぎもざく切り。
おまけに丁寧に切ったネギは別皿。
しかも２人で１皿。
つっこみ所満載のこの店。
これが好きなのに・・・。
そばを汁の方から引き出す。
美味い。
本当に美味い。
半分喰ったら七味を掛ける。
これもまた美味い。
この塩っ辛い汁がやはり江戸そばだ。
そば自体は田舎そばだけど。
どんな喰い方でも美味い。
細めのちくわぶ喰っているみたいだ。
これがまたそばで日本一腹持ちが良い。
最後の汁は最初にそのまま飲む。
良い味だわ。
お次ぎに蕎麦湯で割る。
これも素晴らしい。
最後に蕎麦湯だけ。
このネットリした蕎麦湯もこれが最後が。
俺が紹介して以来ボブが足繁く通い、一番残念なのはボブだろう。
ボブの彼女が函館で実家がそば屋をやっているので、婿に入ったら角萬化計画は有るらしい。
それまで付き合っているかも微妙だが。
もう俺等は角萬インスパイアを探すしか無い。
そして近い内に出て来るだろう。
それにしても美味かった。
角萬フォーエバー。