浅草橋 天康

朝一営業に出て、後は会社で缶詰。
こんなに天気が良いのに。
俺の様な集中力の無い奴が、仕事に没頭して気が付けば１２時１０分。
俺の階に誰も居ない。
下に降りる。
誰も居ない。
表に出る。
居たが食に興味の無い奴等だ。
良し！
諦めて１人で行く日が来た！
会社のインタセプターである、緑のチャリを出そうとしたが、荷物が多過ぎて出ない。
何だよ。
歩きかよ。
では先ず北へ向かおう。
浅草橋駅とは正反対。
こっちの方が本気の美味い物がある。
先ずはみちしるべに。
ゲッ！混んでる！
隣りのすぎ栄も混んでいる。
清洲橋通りの方に確かうどん屋出来てたな。
でも急に途中で吸い込まれた。
天康に。
体が天ぷらを喰えと言っている。
ここは俺の知る限り一番浅草橋で天ぷらが美味い。
いつも混んでいる店だが・・・・今日は２人だけ。
カウンターに座る前にさかな天丼を注文。
常連っぽく振舞うが相当久し振り。
直ぐに俺の調理に。
鱚にサッと天ぷら粉をつけて揚げる。
茄子も。
穴子も。
天ぷらが江戸前ファーストフードだと言う事が良く解る。
今日も俺の好物ばかり。
茄子から頂くが熱い！
火傷レベルの熱さ。
水で冷やそうかと思ったら熱々のお茶だった事を忘れていた。
我慢しつつ喰う。
やはり天ぷらは熱い方が良い。
そして俺の好みはサクサクではなくシナシナの天ぷらだ。
この汁を吸った天ぷらは美味い！
そして何より鱚が美味い！
きす天食い放題の店が出来た良いのに。
お新香と交互に喰うとこれまた美味。
美味い物を美味い物で打ち消すって凄いな〜。
そしてまた美味い物を喰う。
この繰り返しで尻尾まで頂く。
最後は味噌汁で〆る。
口の中の天ぷら感を無くしたら骨を揚げたのを頂く。
これも何とも言えない香ばしさ。
カリカリと頂いて終了。
お会計時は客は俺だけ。
来よう来ようと思い夜に一度も来ずに２０年。
年齢的にも天ぷらをつまみに酒を飲める歳になった。
定年まで１０年。
寿命までは１０年無いかも。
急がねば。