常盤 魚三酒場

夕方に客が急に来る。
昼過ぎにLINEが来た。
「夕方打合せで会社に行っても良いですか？」と。
はい来た！
今夜の鴨が。
取り敢えずラインに返す。
「打合せ後の用事は？」と。
無いそうだ。
うら若き２０代の乙女なのに。
でも俺は知っている。
先日彼氏と別れた事を。
男なんて星の数ほど居るぜ！
それよりも、俺の残りの人生で飲みに行ける日は、太陽系の惑星ぐらいしかない。
打合せ終わったら飲みに行こう！
商談終了。
「お客さんと飯喰って帰るわ！」と後輩達に言い残して退社。
浅草橋駅前からタクシーで森下まで。
店の目の前に着けてそのまま入店！
今日の席も前回と同じ。
ちなみにこの子は超絶下戸だ。
ビールと日本酒しかない魚三ではキツイだろうに。
その代わりいっぱい喰ってくれ！
「お姉さん〜〜〜！何か刺身と貝があったら頂戴な！」
これで最初のミッション終了。
マグロと赤貝とホタテが出てきた。
まずはビールで乾杯！
良いね〜〜〜！
まだ表が明るいよ！
忙しい仕事で良かったな〜。
暇な仕事ならとっくに破産でバツイチで無縁仏だ。
アジ刺しも来て、先日と同じハゼの天ぷらも。
今日はかにも喰ってみた。
カニがあっても無言にはならん。
俺が永遠に喋っている。
カツオとシメサバも喰って最後の〆に。
お汁だ。
はぁ〜〜！生き返る！
彼女と色々と話をしたが仕事がつまらないらしい。
そりゃ２０代じゃおもろくは無いわな。
しかも物凄く仲の良い同期の同じ歳が辞めてしまったのも原因だろう。
俺も何も知らずにこの業界に入ってたら、今頃とっくに辞めていたな。
スーパーイーグルさんが居たんで、随分と助けてもらったわ。
その辞めた子に写真を送ってみた。
即「魚三？」と回答が返ってきた。
さすがだな。
一度連れてきたので覚えているようだ。
俺は大丈夫だが、この子は都下まで帰る。
ここからだと都営新宿線で新宿まで。
俺は神保町まで付き合えるが、その後が心配だ。
辞めた子に５分おきにその子にラインを送るように頼んでおいた。
寝かさない為に。
後日会ったら、５分おきに「寝てない？大丈夫？」と連絡が来たと。
ちゃんと俺の願いを守ってくれたようだ。
ありがたい。
では次回あなたも魚三で。