清川 越後屋

午後から雪が降る。

結構降るという。

楽しみだ。

こういう日は仕事も早仕舞い。

うちの会社も早退していいというお達しが出た。

こんな日は飯屋もさぞかし空いてんだろう。

バーチーとボブに「角萬の暖かい蕎麦を喰いにいかねえ？」と。

俺を含め３人はカドマニスト。

２人もちょくちょく喰いに行っているのは聞く。

そして誰もが冷やし以外喰ったことがない。

こりゃワクワクしてきたぞ！

あとはこの雪の中で、いかに一番近くのコインパーキングに停められるかだ。

おっ！今日は空いている！

ここも空いている！

結局直ぐ近くに！

ギャァ〜〜〜！やってない！！！

マジかよ！

臨時休業！！！

３人ともに魂が抜かれた。

もうやる気が出ない。

ここで帰るのも馬鹿馬鹿しい。

山谷の越後屋に行こう！

あそこに行けば必ず美味い物が喰える。

山谷到着。

今日は商店街が休みの日の様で、ほぼ閉店。

やっているのは越後屋だけ。

入店！

結構客が入っている。

寒いので奥に座らせてもらう。

ここにきたら決めていた。

上天ぷら定食だ。

１１００円という値段で逸脱した量が来る。

今日は天ぷらを死ぬほど喰ってやる。

バーチーも上天ぷら。

ぼぶは上刺身。

皆飯への鬱憤が溜まっていた様だ。

向こうにてんこ盛りのチョモランマ状態の天ぷらが見える。

確実に俺のだ。

はい！到着〜〜〜！

内容はしいたけ、なす、ピーマン、ししとう、れんこん、かぼちゃ、海老二尾、キス二尾。

文句なしの量だ。

衣はサクサク。

ししとうから頂く。

美味いな〜〜。

大根おろしと天汁とししとう。

これで米が十分喰える。

野菜で米が喰えるって素晴らしい事だな。

俺は天ぷらでも野菜から片付ける。

野菜だけでも十分米を喰えるが、やはり海老はご褒美だ。

最後にキスを頂いてからの海老。

キスもフワフワだったが、海老の歯応えがたまらん。

でも今日は更に最後に残していたものが。

大根だ。

これがもう美味くて美味くて。

台東区最北端の山谷。

二十歳ぐらいの時は、玉姫労働出張所の前を通るときは時速６０キロ以上で走れと。

当たり屋が居るからだ。

信号待ちすると「小銭恵んでくれ。」「タバコ一本くれ」と集られた場所。

今や静かな名店揃いの場所。

昔に来てみたかったな。